1.誰が会社設立をするのか
まず、会社を作ろうとする人が「発起人」となります。そして、会社設立後は株主となります。会社設立には定款を作成しなければなりませんが、その定款で取締役や代表取締役を決めないときは「設立時取締役」「設立時代表取締役」「設立時監査役」を選任します。小規模の会社の場合、一般的には発起人が設立時取締役などになります。
ただし、ここでいう設立時取締役は会社設立後の取締役と必ずしも同じ意味ではありません。設立時取締役は以下の仕事をすることになります。
■出資者に現物出資(自動車や土地)をする発起人がいる場合、その出資の適正調査
■代表取締役の選任(定款で定めていない取締役会設置会社の場合)
2.株式会社の機関設計
株式会社には、株主総会、取締役会、監査役など様々な機関があります。それぞれの機関にはそれぞれの役割があり、株主総会のような必置機関と会計参与などの任意機関があります。どの機関を設けるのか、様々な組み合わせが考えられるのですが、将来を見据えた機関設計を考えるのが理想的だと言えます。組み合わせで言うと30以上の組み合わせがあり、組み合わせを検討するとなるとそれだけで非常に膨大な時間が必要になるでしょう。そのため、小規模な会社に向いた機関設計の例を以下にあげておきます。
株主総会 | 取締役 | 取締役会 | 監査役 | 会計参与 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | ○ | ○ | - | - | - |
2 | ○ | ○ | - | ○ | - |
3 | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
上記の場合は、取締役会を設置しない株式会社です。少人数、小規模であるならば上記の3タイプで十分かと思われます。上記取締役会非設置会社は、さらに①取締役1名で設立する会社②数名の取締役で設立する会社③取締役と監査役で設立する会社、に分かれます。
ちなみに、取締役会設置会社とは、取締役3名以上、監査役1名以上で構成される会社です。
3.会社設立に必要な事項
株式会社設立までには、多くの道のりがあります。それぞれの情報収集を行い、それぞれの手続きをしようとするとそれなりの時間と労力とプレッシャーとストレスがかかることは覚悟しておいてください。決して一人ではできない手続きではございませんが、たった一回だけの手続きにどこまでの時間と労力をかけるか、十分に検討をされたほうがいいとは思います。
当事務所にご相談に来られるお客様の中には、途中まで自分で手続きをしていたが手に負えなくなってしまったので、という方も少なからずいらっしゃいます。
簡単ではございますが、株式会社設立までに必要である事項を時系列に列挙いたします。
1.発起人の決定・会社概要の決定(機関設計など)
2.発起人会の開催
3.会社代表社印の作成
4.印鑑証明書の取得
5.定款の作成(商号の決定、商号調査、資本金の決定など)
6.定款の認証
7.資本金の払い込み
8.設立時取締役等の調査(出資有無、法令違反等調査)
9.設立時登記申請書の作成と申請
10.登記完了確認
11.各種届出(登記完了後にも多くの届出が必要※株式会社設立後の手続きで説明)
4.会社に最低限必要なもの
会社に最低限必要なものとして、最も先に上がるのは印鑑です。ひとくくりに印鑑と言っても最低でも3つは必要になってきます。印鑑作成にあたっては、激安印鑑は避けてください。耐久力のあるしっかりとした印鑑でないと数年もしないうちに湿気や乾燥でひび割れ等を起こし、使用不可になってしまいます。そうなると、また、面倒な印鑑証明書などの手続をとらなければなりません。
- 会社代表者印
- ■必ず作成し、法務局に登録しなければならない。サイズは直径10mm~30mmの正方形に収まるものと定められている。
- 銀行印
- ■法人口座をもつために必要。法務局への登録は不要。サイズの指定はないが、会社代表社印と同じ大きさが一般的である。
- 角印
- ■請求書や領収書などに使用。会社名のみが刻印される。法務局への登録は不要。
このほかにも、社名、電話番号、住所などパーツ式のゴム印などがあります。印鑑以外にも、名刺や社名入り封筒、社名入り請求書、社名入り領収書、社名入り見積書などが必要になります。これらは必須ではありませんが、信用を得るために株式会社を設立したのであれば前述したものは最低限用意しておきましょう。
5.許認可が必要な事業は要注意‼
次に掲げる業種においては、単に株式会社を設立しただけでは事業を始めることができません。許認可業種といい、行政庁の許可が必要になります。
【 許可が必要な業種 】
業 種 | 申請先 | 窓 口 |
---|---|---|
飲食店業(レストラン、喫茶店など) | 都道府県知事 | 保健所 |
菓子製造業、惣菜製造業 | 都道府県知事 | 保健所 |
乳類、食肉、魚介類の販売業 | 都道府県知事 | 保健所 |
古物商、質屋業 | 公安委員会 | 警察署 |
旅館業 | 都道府県知事等 | 保健所 |
労働者派遣業 | 厚生労働大臣 | 労働局 |
有料職業紹介事業 | 厚生労働大臣 | 労働局 |
建設業 | 国土交通大臣または都道府県知事 | 建設業課 |
医薬品等の販売 | 都道府県知事 | 保健所 |
工業用アルコール販売・輸入 | 経済産業大臣 | 経済産業局 |
貨物運送事業 | 国土交通大臣 | 陸運局 |
旅客運送事業(バス、タクシー) | 地方運輸局長 | 陸運局 |
風俗営業(スナック、パチンコ) | 公安委員会 | 警察署 |
【 登録が必要な業種 】
業 種 | 申請先 | 窓 口 |
---|---|---|
第1種旅行業 | 観光庁長官 | 観光庁 |
第2・3種旅行業 | 都道府県知事 | 商工労働観光課など |
揮発油販売業 | 経済産業大臣 | 経済産業局 |
倉庫業 | 国土交通大臣 | 地方運輸局 |
貸金業 | 財務局長または都道府県知事 | 日本貸金業協会 |
【 届出が必要な業種 】
業 種 | 申請先 | 窓 口 |
---|---|---|
業務用食材の輸入 | 厚生労働大臣 | 検疫所 |
美容院、理髪店、クリーニング店 | 都道府県知事 | 保健所 |
貸駐車場 | 都道府県知事 | 都市計画課など |
深夜酒類販売業 | 公安委員会 | 警察署 |
ペットショップ | 都道府県知事 | 都道府県担当部局など |
【 認可が必要な業種 】
業 種 | 申請先 | 窓 口 |
---|---|---|
警備業 | 公安委員会 | 警察署 |
【 免許が必要な業種 】
業 種 | 申請先 | 窓 口 |
---|---|---|
酒類販売 | 税務署長 | 法人課税担当など |
宅地建物取引業 | 国土交通大臣または都道府県知事 | 不動産課など |
オスメック行政書士事務所では、株式会社設立だけでなく許認可業務も併せて手続きを行うことが可能です。また、個人事業主の方で許認可の手続だけ依頼されたい、という方でもお気軽にご相談ください。
6.本店所在地の決定
本店所在地をどこにするかは、重要なポイントです。立地条件、賃料、周囲の環境など、考慮すべき事項はたくさんあります。また、営む事業によっては周囲の環境に制約がかかる場合があります。
例えば、有料職業紹介事業などの許認可申請を予定しているような場合、風俗営業地域内に本店があると許可が受けられない場合があります。また、事務所の面積の制約もあったりと、単に安い、便利だからと言って情報収集もせずに先に契約だけすると大きな損失につながりますので十分に注意をしてください。
少しでも、不安であれば専門家の意見を聞いてみましょう。結果的に時間・費用面でも最小で済む場合がありますので積極的に検討してみましょう。
また、あわせて、検討したいのは補助金政策です。初めての事業をはじめるにあたり、潤沢な資本金があれば事業の幅が広がりより戦略的に業務を行うことができます。それだけ、事業の成功の確率が上がります。
補助金は返済不能なものなので、もらえるのであればもらっておきましょう。しかし、申請にはある程度の知識が必要になります。また、いつでも、補助金があるわけではなく時と場所が関係してきます。
<会社設立時にもらえる補助金の過去の例>
Aさんは当初X県を本店所在地として事業を開始する予定でした。会社設立手続きを専門家に依頼し打ち合わせを何度かしているうちに、実情を把握したその専門家から隣のY県を本店所在地とすれば最高500万円の補助金がもらえる、という情報をもらいました。AさんがX県を本店所在地にする理由は単に自宅から近いというだけであって、Y県でも問題はなく、しかも、自宅から20分ぐらいの通勤時間の差しかなかったので、結果Y県を本店所在地として事業を開始しました。もちろん、補助金ももらうことができ、当初予定していた設備よりも充実した設備で業務を行うことができるようになりました。

7.会社の事業年度の決め方
会社は、最低でも年に1回決算を行わなければなりません。事業年度は自由に決めることができます。一般的な事業年度(会計期間)は4月1日~3月31日(決算日)です。しかし、必ずしもこの会計期間を採用しなくてはいけないわけではありません。理想としては、事業年度は最長に設定しておくべきでしょう。なぜなら、4月1日~3月31日を事業年度として定款に定め、会社設立が2月1日だった場合、次の月に決算を行わなければなりません。2月1日が設立だった場合、2月1日~1月31日を事業年度とすることが望ましいでしょう。

8.資本金を決めるときの注意点
最低資本金制度がなくなったため、今では、資本金が1円でも会社設立可能です。ただし、1円で設立するくらいなら個人事業主のままで業務を行ってください。資本金が1円の会社はどこも相手にしてくれないでしょう。
資本金は会社を経営するための資金です。会社の信用度にも関わってくるのです。事業内容にもよりますが、少なくとも100万円程度は準備しておいたほうがいいでしょう。ここで、注意をしなければならないのは、許認可が必要な業務です。場合によっては、資本金の額が許認可の要件になっている場合があります。そのため、ご自身の業務で資本金の要件があるのかどうか慎重に情報収集をする必要があります。
また、資本金の額は大きければ大きいほど良い、というものでもありません。資本金の額によって税額が変わるからです。これらの情報をしっかりと収集し最適な資本金額を決めましょう。
【資本金の額が要件となっている許認可業務の一例】
許認可業務 | 資本金要件 |
---|---|
建設業 | 500万円~2,000万円 |
労働者派遣業 | 2,000万円 |
貨物運送業 | 開業に必要な資金の50%が必要 |
【資本金額による税率の影響】
資本金の額 | 法人税率 | 事業税率 | 交際費 |
---|---|---|---|
1億円超10億円以下 | 25.5% | 1.5% | 社内接待費を除く飲食費の額の50%を損金算入 |
1,000万円調億円以下 | 800万円以下15%800万円超25.5% | 2.7% | 800万円まで損金算入 |
1,000万円以下 | 800万円以下15%800万円超25.5% | 2.7% | 800万円まで損金算入 |
※表の数値は参考値です。詳細は必ずご確認ください。
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